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瞑想の姿勢③
日常生活ではつい背骨が曲がってしまうが、ときどき思い出しては、このやり方で姿勢を整える。その上で自律訓練法を応用して腕・肩のカを抜くと、自分の心身をコントロールできるという実感が全身に満ちあふれてくる。いつでもどこでもこれはできる。
例えば、ちょっと疲れを感じたらやってみる。順番待ちでいらいらしそうだと思ったらやってみる。長びく会議でやってみる。頭に新鮮な血液が流れ、いらいらがスーッとおさまってくる。
学校では、授業中でも休み時間でも、思いだしてはやってみる。「先生、姿勢いいね!」と言ってくれる生徒がいる。
困ったとき、何か考えなければならないときには、まず姿勢を整えてみる。少なくとも頭の混乱だけは鎮まってくる。
上体を前に倒す(例えばおじぎをする)ときも、背骨がまっすぐなままでする。そうしてみると、よくないおじぎは腰から背中を曲げているが、きれいなおじぎは腰と背骨をまっすぐなまま倒し、股関節で曲がるのだとわかる。
座ることだけが瞑想ではなく、座ることを軸にして、日常のふるまいそのものが瞑想になっていく。それが本来の姿であろう。否応なくせざるを得ない状況の中で、「行住坐臥これ瞑想」、それが今、私の憧れる理想の境地である。
1994年8月