水泳のイメージトレーニング
病後の回復も順調で、育児の生活ペースにもようやく慣れ、また水泳を始めた。以前のように週2回は時間がとれないが、週1回は通勤途中の公営プールで泳ぐ。
泳ぐことを促してくれるコーチや仲間がいない分、続ける工夫が何かと必要になる。
その1つが、図のような記入欄である。この欄を、B5の紙に10個並べて毎月の用紙ができている。あらかじめ予定日を記入しておくので、サボった日は一目瞭然。これは週2回通えていた昨年の記録で、現在は毎週水曜日しか通えず、土曜はずっと空欄になってしまう。
ところでこれは、記録欄であると同時にプログラムでもある。距離の増減は多少あっても、毎回このパターンで泳ぐ。
このプログラムを、50秒ごとのスタートで25メートルずつ泳ぐ。例えば、クロールだと30秒くらいなので、次のスタートまで20秒休める。が、ゆっくり泳ぐと、その分休みは減る。「インターバル方式」である。
いちいち「よし!次は100メートル泳ぐぞ」などと考えてやっていると、そのつど決意が必要になる。この方式だと、時計がコーチになって、「用意はいいか。5秒前、ヨーイ、スタート」と、促してくれるので、いつのまにか200、300と泳いでしまう。
三種目混合の150メートルをウォーミングアップにして、クロール、背泳、平泳ぎ、またクロールと100メートルずつ泳いだら、休憩にする。
水から上がり、プールサイドであぐらをかく。目を閉じて瞑想の姿勢をとり、いつもの自律訓練法とイメージ指圧の導入は簡単にして、イメージトレーニングにはいる。
たった今まで泳いでいたのだから、そのイメージは容易に浮かぶ。クロールから順に、泳いでいる実感のあるイメージを描き、フォームを練習していく。
こまかい動作の修正もするが、それよりも全身がよく伸び、水に乗ってリズミカルに泳いでいく全体的な動きをイメージすることがまず有効な気がする。手と脚とその他の全身が互いに協調し合って伸び伸びと泳いでいく。そんなイメ-ジに気持ち良くひたる。
休憩を終えて、後半の泳ぎにはいると、イメージトレーニングの効果がてきめんに現れる。体が自然に水に乗り、気持ちよく泳げる。前に伸ばした手の指先から、後ろに伸びた足の指先までがスーッと一直線になって、スイスイ進む。じつに幸せな感覚である。
水泳のイメージトレーニングは、ふだんの朝の瞑想の中でも行う。私の瞑想の中には、さまざまな技能の練習ができるイメージトレーニングセンターがあって、当然、プールもついている。「水曜日は水泳の日」と憶えて水曜の朝は、瞑想の中でもプールにはいって泳いでおく。そこでは、今まで長年泳いできた中で気づいたコツや失敗の教訓がすべて活用できる、と自己暗示し、信じて泳ぐ。
プールを去るときは、私の分身を3人残し、3種目をそれぞれ専門に練習させておく。「次に来るときまで、ほどほどに休みながら練習しておいてね」と、言いおいて。
実は、私は小学校以来の「かなづち」だった。それが、結婚前の27歳のときに、決心してスイミングスクールに通い、長年のコンプレックスの一つを克服した。
私にとって「泳げる」ということは、「やればできる」という信念の象徴である。泳ぎ続けることで私はその信念を確かめ続ける。
水泳は、私にとって趣味や健康のためだけでなく、積極的に生きていく力を与えてくれる大切な習慣なのである。