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執筆者の写真教育エジソン

2年次の進路意識を高める


 M高校では、系統的キャリア教育として、年次ごとに2単位ずつの「キャリア関連科目」を置き、卒業までをサポートする。その触れ込みだが、その内実は、充分なものとは言えない。そこで私が取り組んだのは、1年次「産業社会と人間」の改訂であった。

 それに続く2年次「キャリアデザイン」改訂に、昨年度、2年次主任となったのを機に、取り組むことができた。

 2年次は中だるみの時期だが、その中で進路意識をいかにして育てるか。不登校経験があり、入学時は不安だった生徒たちが、穏やかな雰囲気の中で仲間もでき、まじめに授業に出さえすれば、卒業の見通しも立つ。ガリガリ勉強するより、進路のことは未定のまま、日々を楽しめればいい……となるのも無理はない。また、それは必要な時間かもしれない。

 それでも何とか進路について考え続け、今を有意義に過ごしてほしい。そのために、T校長が生徒にした講話からヒントを得て、WILL、CAN、MUSTの考え方を軸に学習内容を構想した。職業や上級学校の理解を深め、将来を考えるのは、「ありたい自分」をイメージする「WILLの考え方」。すぐ結論が出なくとも、考え続ける必要がある。

 だから進路の迷いは続くが、それでも、未来の自分のために「今できること(CAN)」は何か。また、そうした中でも日々の授業はあり、時間は過ぎていく。そこで、「今せねばならないこと(MUST)」を果たすことが大切。

 WILLの「職業理解」では、小さな遊園地やスーパーマーケットなど決められた4つの会社に異なる職種で集まり、社名や会社の目的を考え、各自の働き甲斐を発表するワークを考案した。生徒たちは大いに盛り上がり、会社で働くことの意味を実感できたという。

 CANの面では、学習に取組むことを縦軸、進路目標を見つけることを横軸にしたグラフ(進路意識二次元スケール)を示し、自分の位置を考えさせた。今できることは、右上がりの方向にある。

 MUSTでは、「進路活動シュミレーションシート」のワークを実施した。卒業年次の進路活動を4期に分けた欄に、自分の進路(大学一般、大学推薦、専門学校、就職など)の活動予定を記入し、それぞれの時期、自分は何をし、どんな気持ちでいるかをリアルに想像して書く。それを無記名なままランダムに配布する。順に4人回し、回ってきたシートの記述を読んで、1人1ワクずつ応援メッセージを書く。手元に返ってきたシートには、クラスの誰かさん4人からの温かなことばが書かれている。厳しい進路活動をイメージすると同時に、それを支える仲間の存在を実感できる。

 生徒たちを見ると、1年間で全体的な連帯感が深まったのを感じる。進路意識を高める秘訣は、仲間意識を育て、生徒同士の学び合いを育てることだと確信した。その真価は、いよいよ今年度の進路活動で発揮される。

2013年5月


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